

機械の「パルス幅」って結局何?パルス幅が違うと何が違うの?

パルス幅は「照射されている時間」のこと。“早く照射”するか“じっくり照射”するかで治療の効果が変わるよ。
美容ナースになると度々耳にする「パルス幅」
パルス幅をしっかり理解しないと機械や治療を理解することができません。パルス幅を現役美容ナースが解説します。
パルス幅とは
パルスとは「①脈拍」「②ごく短い時間だけ流れる電流や電波」のことを言います。

そういえば脈拍数を略語でP(palus)って書くね!
美容医療機械の領域では主に「②短い時間だけ流れる電流」のことを指します。

つまりパルス幅は電流の流れる時間、「レーザー(光)の照射時間」を表します。レーザーをゆっくり照射した場合と、素早く照射した場合だと皮膚に加わる影響が変わるのは想像できますよね。
照射時間が短いことをショートパルス、照射時間が短いことをロングパルスと呼びます。この2つはよく耳にするワードだと思います。
パルス幅=照射時間
ショートパルス:パルス幅が短い=照射時間が短い
ロングパルス:パルス幅が長い=照射時間が長い

美容医療の機械におけるパルス幅はお肉に例えて「じっくり焼く」か「素早く焼くか」と 例えられることが多いです。
パルス照射と連続照射
1発、1発照射することを「パルス照射」また連続して照射することを「連続照射」とも呼びます。
イメージとしては、パルス照射は太鼓を1回1回叩く、連続照射は息を吹き込み続ければ音がなり続けるリコーダーといった感じです。

美容医療の機械はほとんどパルス照射です。連続照射はスイッチを押し続けるとレーザーが照射され続けるものです。連続照射の機械にはホクロ除去に使うエスプリの炭酸ガスレーザーなどがあります。
︎︎︎︎︎︎パルス幅が短いとピークパワーは強くなる
パルス幅が短くなるとピークパワーは強くなります。ピークパワーとはパルスの頂点における瞬間のワット数のことです。つまり、瞬間的に威力のある高いエネルギーのことです。
ワット数とは「どれだけ電気の力を使うか(パワー)」を表す単位です。「水道の蛇口をどれくらい大きく開けているか」と例えられる事が多いです。私達の身近なものだとドライヤーや電子レンジなどは強いパワー(電力)が必要になるので高いワット数が必要になります。それに比べてLED電球はワット数は少なくて大丈夫です。みなさんも急速充電のモバイルバッテリーが欲しければ、ワット数が高い商品を選んでいると思います。
1パルスあたりのエネルギー総量が同じ場合
・パルス幅が短い(照射時間が短い)
→ピークパワーは強くなる。
・パルス幅が長い(照射時間が長い)
→ピークパワーは弱くなる。
下図を見て頂くと分かりやすいです↓

同じジュール数でも照射時間(パルス幅)が短いとピークパワー(W)は強くなります。
機械によっては「パルス幅」を設定できるものもあります。

看護師はパルス幅を変更する際にピークパワーが変わることを理解しておきましょう。
パルス幅の種類
パルスの時間を単位で表すと
秒→ミリ秒→マイクロ秒→ナノ秒→ピコ秒の順に1000分の1ずつ照射時間は短くなります。


ロングパルスと言われているミリ秒でも1000分の1秒と考えると「短っ!ロングじゃない!」という気持ち。(他のパルスと比較するとロングだけども🥹)
︎︎︎︎︎︎パルス幅による治療の違い
実際に現場で使う機械で考えてみましょう。
ショートパルスの治療
ショートパルスレーザーと呼ばれるものはピコ秒、ナノ秒レーザーです。
代表的な治療にシミ治療があります。
短い時間・強いパワーで照射ができるため、熱が広がりにくいという特徴があります。シミ周辺の皮膚へのダメージを最小限にしながら、シミを強いパワーで破壊できます。

ロングパルスの治療
ロングパルスレーザーはミリ秒レーザーが該当します。
代表的な治療では脱毛・赤み治療があります。
脱毛のパルス幅
脱毛の場合は、毛の周辺組織で発毛組織である①毛乳頭②バルジ領域③毛母細胞を熱変性させないといけません。レーザーはメラニンのある毛に吸収されますが、毛だけ熱変性しても脱毛できません。毛の周辺にあるこの3つの発毛組織を熱変性することで脱毛できます。

シミ治療の場合は熱が広がらないショートパルスでしたが、脱毛の場合は熱が広がって毛周辺の発毛組織まで熱が伝わるロングパルスでないといけません。

赤み治療のパルス幅
また赤み治療にもロングパルスが使用されます。
赤み治療のターゲットは余分な毛細血管を破壊することです。毛細血管を破壊するには毛細血管の中を流れるヘモグロビンをターゲットにレーザーを照射します。赤血球が加熱されれば熱は周囲に広がり毛細血管を破壊できます。

つまり、赤血球だけを破壊しても、赤血球周辺の毛細血管にまで熱が加わらなければ毛細血管は破壊できません。熱が毛細血管まで伝わるにはじっくり熱が加わるロングパルスが有用となります。短すぎる照射時間だと破壊したい毛細血管にまで熱が届かないということです。

実際に赤み治療で使用されるダイレーザー・IPL(フォトフェイシャル)の機械もロングパルスになります。
せっかくなので赤み治療をもう少し深掘りします。赤み治療ではダイレーザー(Vビーム)が有名です。
先程のおさらいですが、毛細血管を損傷させるにはロングパルスが有用でしたね。またヘモグロビンへの吸光度が高い波長は585nmです。(下図参照)

ダイレーザーはヘモグロビンの吸光度が高い585nmの波長かつ、ロングパルスなので赤み治療にバッチリだと思いますよね。しかし波長が585nmと短いため皮膚の深くには届きにくくなります。ヘモグロビンへの吸光度が高い585nmの波長ですが、血管が深くにある場合はレーザーが届かない可能性もあるということです。その場合、ヘモグロビンの吸光度はダイレーザより劣りますが波長の長いロングパルスヤグレーザーが赤み治療で使用される場合もあります。

レーザー治療奥深い…🥹
代表的な治療を例に挙げましたが、治療目的により機械のパルス幅は変わります。
ざっくりになりますが
▫️熱を広げたくない治療→ショートパルス
▫️熱を広げたい治療→ロングパルス
と覚えるとイメージ付きやすいと思います💭
「高熱破壊」「衝撃波」
パルス幅が短いとエネルギーは熱ではなく衝撃波に変わります。熱で燃やしてやっつけるか🔥衝撃波でやっつけるか🔨💥の違いです。
シミをレーザーで治療する場合、“熱で破壊する”という印象が強いですが、パルス幅が短くなると“衝撃波”によりシミを破壊すると言われています。
【パルス幅が長い】
エネルギーが熱に変わり、熱で破壊する→熱破壊(光熱作用)
【パルス幅が短い】
エネルギーが衝撃波に変わり、衝撃波で破壊する→衝撃波(光音響作用)

パルス幅の短いピコ秒レーザーは衝撃波で破壊するため周囲への影響が少なくメラニンを破壊できると言われています。
まとめ
レーザー治療は単純にパワーが高ければ破壊力が増して良い!という訳ではなく、波長やパルス幅など様々な要素が影響しています。その中でもパルス幅は重要な要素の一つです。
・パルス幅とは照射時間のこと
・パルス幅が短いとピークパワーは強くなる
・パルスのが長いとピークパワーは弱くなる
・パルス幅が短いとエネルギーは熱ではなく衝撃波に変わる
・パルス幅の特徴によって治療目的が変わる

「機械によるパルス幅の違い」を理解するにも皮膚の解剖も一緒に理解しておく必要がありますね!解剖も一緒に復習しながら勉強すると良いですね✨️
パルス幅が理解できたら、次は「熱緩和時間」について理解しましょう。治療のターゲットとなる、メラノソーム・毛包・血管とそれぞれ熱のこもりやすさ(熱の逃げやすさ)が違います。そこで出てくるのが「熱緩和時間」です。治療をする上で、熱緩和時間も考慮してパルス幅は考えないといけません。パルス幅と熱緩和時間は密接に関係しています。
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