

レーザの文献で度々登場する「熱緩和時間」って一体何!?

「熱緩和時間」はレーザーを学ぶ上で理解必須です!今回はわかりやすく熱緩和時間を説明していきます。

「熱緩和時間」の説明の前に「パルス幅」について理解しておかなけらばなりません。
パルス幅は「光の照射時間」のことです。パルス幅についてはこちらの記事をチェックしてください。

熱緩和時間とは
熱緩和時間とはレーザーを照射した際に「ターゲットにしている組織の温度がピークより半分になる時間」のこと。

なぜ「熱緩和時間」と名が付くほど、組織の温度が半分になることが大事なの!?

熱緩和時間を勉強していくとその理由が分かってきます。
レーザーを照射したら、狙ったターゲットだけに熱は留まらず拡散(放熱)していきます。

シミ治療で例えると…
①レーザーはメラニンに選択的に吸収される
②レーザーは熱エネルギーに変わる
③熱はメラニンにとどまらず周囲に拡散していく
この標的(メラニン)の熱がピーク時より半分(50%)になるまでの時間が熱緩和時間になります。
この熱緩和時間は標的器官により異なります。一般的に標的期間の大きさが大きいほど熱緩和時間は長くなります。

・熱緩和時間が短い器官ほど
→「熱が逃げていく時間が早い」=「冷めやすい」
・熱緩和時間が長い器官ほど
→「熱がこもりやすい」=「冷めにくい」

ここポイントです!
標的器官の表を見てみると、メラノソームやタトゥー色素は比較的冷めやすく、毛包や血管は比較的冷めにくいということになります。

標的器官によって熱の冷めやすさが違うのは理解した!でもなんでそれが大事なの!?
それは、この標的器官の熱のこもりやすさ(冷めやすさ)の指標を知ってレーザーの照射時間を調節することで周囲組織のダメージが少なく選択的にターゲットを破壊しやすくなるからです。
熱緩和時間より長い時間レーザーを照射したら、熱が逃げて周辺組織にダメージが加わるだけでなくターゲットが破壊される前に熱が逃げていく可能性があります。
熱緩和時間内、つまり熱が半分になる時間より前に充分なエネルギーを与えることでターゲットの組織のみ破壊できるという理論になります。

熱が冷める前に破壊しないと!ということか!

そう!シミ治療と脱毛を例に出して説明していきます。
シミ治療の場合の熱緩和時間
シミ治療の場合は標的になるのがメラノソームになります。

メラノソームの熱緩和時間は50ナノ秒です。
50ナノ秒より短い時間でメラノソームを破壊できるエネルギーを与えることができたら、周囲へのダメージは少くメラノソームだけ選択的に破壊できます。シミだけレーザーで破壊できるということです。
実際にシミ治療にはパルス幅が短いナノ秒やピコ秒レーザーを使用します。いわゆるショートパルスレーザーです。より短い時間で照射可能になったピコレーザーはシミ周辺組織のダメージが少ないことからシミ治療でも有名ですよね。

取り扱っているシミ治療の機械のパルス幅を確認してみましょう。
脱毛の場合の熱緩和時間
熱緩和時間はどのレーザーでも知っておくべきことですが、ナースが特に関わるのは「脱毛」だと思います。脱毛機によってはパルス幅の設定を行う機械もあります。

ということで脱毛の熱緩和時間についてはちょっと詳細に書きます️。
毛根周辺組織の熱緩和時間は約10~50ミリ秒とされています。

ここで脱毛の機序を思い出しましょう。
脱毛のターゲットはレーザー光が吸収されるメラニンですが破壊するのは発毛組織です。発毛組織である「毛乳頭」「バルジ領域」「毛母細胞」を熱変性させなければいけません。
先程のシミ治療を例にした場合だと、熱緩和時間より短い時間で照射する!という理論でしたね。
脱毛の場合は逆に熱を吸収したメラニンからの放熱により、周辺組織の発毛組織に熱を伝えなければなりません。なのでゆっくり熱が伝わる「ロングパルスレーザー」になります。

毛根周辺の熱緩和時間は10~50ミリ秒です。この時間内に照射が終わらなければ放熱がはじまり組織を破壊できません。
→50ミリ秒以内のパルス幅
脱毛のパルス幅は様々で、よく問われているのは
・パルス幅は短い方が効果が高いのか?!
・パルス幅が短い方が産毛に効果的なのか?
という点ですよね。
現段階では、太い毛にはパルス幅長め、産毛には短いパルス幅で治療していく方針が多いかと思います。
ただ、脱毛はパルス幅だけでなくフルエンス・波長・毛周期・皮毛角・毛の密集度・肌状態など色んなことが複雑に絡んでいるのでパルス幅はその1つの要素として捉えると良いのかなと思います。
まとめ
・熱緩和時間は「ダーゲットにしている組織の温度がピークより半分になる時間」のこと
・熱緩和時間を理解するには「パルス幅」をしっかり理解しておく
・熱緩和時間は標的器官によって異なる
・熱緩和時間内に充分なエネルギーを与えることでターゲットの組織のみ破壊できる
・熱緩和時間より長い時間レーザーを照射したら熱が逃げて周囲組織にダメージが加わるだけでなく、ターゲットが破壊される前に熱が逃げていく可能性がある。
熱緩和時間が理解できたら、次は「選択的光熱分解理論」(SP理論)をチェック
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